2008年04月05日

また本を読んだ



小國和子(2003)『村落開発支援は誰のためか‐インドネシアの参加型開発協力に見る理論と実践』明石書店

小國先生は実際に現場で活躍する実務者でありながら研究者でもあります。先日は、村落開発普及員の研修にも講師としてお見えになりました。

この本ではインドネシアで1994年から2002年まで行われたプロジェクトを取り上げています。期間中には延べ約30人の協力隊員が派遣されていて、著者である先生も協力隊員としてまた調整員として2度にわたって参加しています。

この本の特徴はその試みにあると思います。そのプロジェクトを文化人類学的な視点から観察・調査・分析してまとめたと感じました。一般的に文化人類学ではある民族(例、ネパールのタルー族、雲南省のハニ族など)を対象にして研究を行うのですが、ここではその対象が開発プロジェクトでした。本書のあとがきにも書いてありましたが、こういう試みはあまりないと思います。

さて内容ですが、一つ一つの協力隊事業の分析は興味深かったですし、開発支援という概念の捉え方から成果の評価の仕方まで、従来のものとは違う新しい視点が多く取り込まれていてとても刺激になりました。また、現場に携わる実務者としてどのような心構えで取り組めばいいのか、考えさせられました。その中のほんの少しだけをまとめて書いてみます。

まず開発支援というものは、支援する側‐支援される側、協力する側‐協力される側、というように二項対立で考えられる場合が多いですが、そうではなく異なるお互いが「入りまじって」相互作用を生み出すものという視点(p.132)が出されます。本書でも引用されているのですが、『支援学』が定義する支援行為とは「他者を配慮して自らを変えていく」(支援基礎論研究会編『Supportology』2000年、東方出版、p.12)ことだそうです。深い言葉ですね。

また村落開発のプロセスとは、「第一人称としての村落社会とそこに生きる人々が、日常の営みを通じて外部性、異質性を取り込んだり、取り込まれたりしながら、よりよい生活を目指して進めてゆく個別的な社会変容プロセス」(p.257)と述べています。そしてそのプロセスを進めていくためにも、その開発プロセスに携わる全ての人たち(住民や協力隊員など全て)が相互に関わり合って、色んな影響を及ぼしあいながら気づいて学んでいく相互学習の姿勢が大切だとしています。

それらを踏まえると、事業期間中に達成された目に見える成果だけでは村落開発支援の良し悪しを評価するのには不十分で、最も重要な成果は「開発支援が、村落住民が自分について考えたり、気づいたり、再評価したりする契機となること」(pp.270-271)ではないかという考えを示しています。そしてその成果を測る指標を作り出すことを最後に訴えられています。

以上、印象に残った部分を簡単にまとめました。もちろん、一つ一つの協力隊事業の詳細な分析や理論的な部分など内容はもっと多岐に渡っています。ただ、かなり専門的な本だったので僕には少し難しかったです。。。
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2008年04月04日

本を読んだ



野田直人(2000)『開発フィールドワーカー』菊地書館

開発ワーカーとしてどういうところに気をつけて活動していけばいいのか。

この本では、「こういう視点はどう?」「こういうところに気をつけてみれば?」というような感じで、著者から65の問いかけがなされています。文章は平易で、難しく考えずに気楽に読めるのですが、中身は刺激に満ちており、一つ一つの問いかけに考えさせられました。

全部紹介したいところですが、一つだけ最も印象に残ったところを。それは「外部者は資源である」という箇所です。これは、外部者である開発ワーカーが現地に入って、「どうぞ(私を)使ってください」(p.93)と身を投げ出すというスタンスを表しています。一昔前までは、開発ワーカーは住民の先頭に立ってみんなを引っぱり、開発を主導していく立場でした。でもそうではなく、現地住民が行う開発に自分を使ってもらう、つまり自分が相手にとっていかに役立つ資源になれるかという意味で、「立場の逆転」(同頁)でもあります。今までにない発想で、「なるほど」と思わされました。

人それぞれ、「なるほど」と思う箇所は違うと思いますが、65の気をつけるべきポイントはどれも考えさせられるものばかりでした。短時間で読めるし、おすすめです。
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